情報システム技術の変遷の一つに、その時々の最新の技術(ハードウェアとソフトウェア)を活用した「集中と分散」の歴史があります。
特に、本社-支社-営業所-代理店などの組織階層を持つ大企業の業務処理では、どの階層にデータ(情報)を集約して処理させることが、生産性と運用管理のバランスにおいて最適かという視点で、常に議論されてきました。
そして今、次はどうなるのかという話題のトリガーとして、IoT(Internet of Things)の爆発的な普及があります。
モノ(物)のインターネットと呼ばれるIoTは、無数のセンサー機器とセンター側のコンピューターシステムとが、ネットワークを介して情報交換することにより相互に制御を行っていく仕組みです。
しかし高速のネットワークが普及した現在でも、自動運転や遠隔操作など、センター側での瞬時のデータ処理は対処が難しく、現地(現場)に近いセンサー側でのデータの蓄積と処理が必須になります。
大規模データセンターへの集中が進んだクラウド(雲)コンピューティングに対して、分散を意識したフォグ(霧)コンピューティングやエッジ(端)コンピューティングという言葉を耳にすることが、この1~2年で増えてきました。
またデジタルの世界でも、業務処理はアナログ的な例外的要素も多く、不確実性を持つ様々な対応が求められます。
そして情報セキュリティの視点からも、IoT機能を持つ監視カメラや住宅設備、家電機器などへのウイルス感染や制御機能の乗っ取りなどへの防御対策は、喫緊の課題となっています。
集中と分散のバランスをどこでどう保つか、その最適解を探ることも、IT技術者の価値の見せどころと言えそうです。